プロレス統計

プロレスの数字とプロレスする

負傷欠場で振り返る2017年の新日本プロレス

先日のPower Struggleの結果を受けて東京ドームの追加カードが発表され、そして次期シリーズWorld Tag League(以下WTL)の参戦チームも発表されました。
それについては公式HPで確認してもらうとしても、その中で反響と言うよりも批判が相次いでいるのは発表のうちのこの部分

なお、今回の『WORLD TAG LEAGUE』には、すでに1.4東京ドーム大会で対戦カードが決定しているオカダ・カズチカ内藤哲也棚橋弘至ケニー・オメガらはエントリーが見送られた。

http://www.njpw.co.jp/121426

 所謂現新日本のトップ4が軒並みWTLへの参戦を見送るという異例の発表。
例年WTLは各シングル王者もほぼ全員が参戦した上でリーグの優勝を目指し、副賞としてドームでのIWGPタッグ王座挑戦権を得るというもの。
それに関して去年内藤選手が「ドームで既にカードが決まっている選手には挑戦時期に選択肢を持たせるべき」という主張もあり、今回どのような形式になるのか注目されていた部分はあると思います。
結果としてはその要求は棄却され、ある種その想像の裏を行く別種の回答が得られたわけです。


この発表を聞くに付けて、一部では「楽しみにしていたのに残念だ」「観客を舐めている」などのツイートも散見されました。
個人的には、上記発表でも書かれている通り、そして次期シリーズの対戦カードにもあるように、ケニーを除く棚橋オカダ内藤の3選手は全戦参戦し、その勇姿は見られるということもあってそこまで残念がるほどでは・・・とも思いますが、
内藤選手がシリーズを前に新たなXの投入を予告するなどして期待を煽っていただけにそれが”裏切られた”という思いの人がいることもまた理解できます。

ですが、WTLが締めくくる「2017年の新日本プロレス」は近年の新日本プロレス、いやプロレ界でも稀な出来事が頻発した年であることを忘れてはいないか?とふと思いました。
それは負傷欠場が相次いだこと
本記事では、まだ2017年も2ヶ月近く残っていますが、時系列順に負傷欠場を振り返っていきたいと思います。

1月 フィンレー(右肩)

ヨーロピアンアッパーカットを軸に試合を組み立てるフィンレー選手は年始に右肩を負傷し欠場をしてしまいます。

www.njpw.co.jp

 その後復帰して、アッパーカットの頻度を落としつつ試合をこなしていくものの先シリーズでも数試合を欠場するなど怪我が慢性化している様子。

2月 エル・デスペラード(右膝)、ランス・アーチャー(腰)、ヘナーレ(左アキレス腱)

1.5後楽園にて一斉リターンを果たした鈴木軍はCHAOSに狙いを定めて一気に新日本のお宝を狙いにかかりました。
しかし2.5札幌ではIWGPジュニアタッグ、タッグ、ヘビーの3タイトルマッチに3タテしてしまいます。
ジュニアタッグ戦後にはエル・デスペラードが金丸と組んでの挑戦をアピールするもののその後膝の負傷によって挑戦も流れることに

www.njpw.co.jp

そしてKESのランス・アーチャーも大阪大会を直前にして腰の負傷で欠場に。

www.njpw.co.jp

そしてその次シリーズ、真壁刀義デビュー20周年興行で岡とのシングルマッチに挑んだヘナーレがアキレス腱断裂により開始わずか2分44秒でレフリーストップ、そして長期欠場に

www.njpw.co.jp

デスペラード真壁刀義デビュー20周年興行にてすぐに復帰したものの、ランスは10月の両国大会でようやく復帰、そしてヘナーレも次期WTLシリーズが復帰シリーズになります。

3月 本間(頚椎)

旗揚げ記念日を前にした年に1度の沖縄大会、この試合において邪道選手のグリーンキラーによって本間選手は頚椎を負傷、救急隊が駆けつける大怪我になりました。

www.njpw.co.jp

これによって予定されていた旗揚げ記念日でのIWGPタッグ挑戦は辞退することになります。
その後は脅威の回復スピードでファンの前にも元気そうな姿を見せてくれたものの、WTLには惜しくも間に合わず、現在リハビリに励んでいる段階です。

4月 柴田(硬膜下血腫)、飯塚(左足首)

4.9 SAKURA Genesis大会においてIWGPヘビー級選手権に挑んだ柴田選手。
文字通り身を削る死闘を繰り広げるものの惜しくも破れ、フラフラの身になってバックステージへ戻っていく姿が見られました。
その後バックステージで様態が急変し、救急車での搬送、そして緊急手術を受けることになります。

www.njpw.co.jp

生死の境を彷徨うほど危険な状態にも陥った柴田選手ですが、その後懸命にリハビリと治療を続け、G1優勝決定戦では4ヶ月ぶりにファンの前に姿を見せてくれました。
しかし今も復帰のめどが立たない深刻な状況で、THE WRESTLERは一人戦い続けています。

そして翌どんたくシリーズにおいて、鈴木軍のベテランである飯塚選手が左足首の骨折によって長期欠場へ

www.njpw.co.jp

その後、G1優勝決定戦のリングで復帰しています。

5月 棚橋(右上腕二頭筋)

その後BOSJを前にして行われたROH遠征において棚橋選手は上腕二頭筋腱遠位断裂によってBOSJシリーズを欠場します。

 この怪我によって6月大阪城ホール大会で予定されていたIC戦も危ぶまれましたがなんとか参戦し、ICを奪取に成功しています。
しかしそれ以降、G1を経た今になっても右腕はアームカバーとテーピングが施されたままになっています。

9月 ケニー (左膝)

過酷な戦いとなったG1クライマックスを準優勝の好成績で終えたケニー選手でしたが、その身を削る試合の代償か、Bブロック最終公式戦の時点で膝の調子がかなり悪く、翌シリーズも強行出場しましたが足が思うように動かない状態になりシリーズ途中から欠場し、手術することに

www.njpw.co.jp

しかも、内視鏡手術で復帰が早めになるとはいえ同シリーズ最終戦での復帰を強行し、自身の持つUSヘビー級を防衛してみせました。

10月 邪道(腰)、岡(右ひざ)

先シリーズにおいて邪道選手は古傷でもある腰の状態が悪く、その治療のために大規模な手術と長期欠場に入りました。
また岡選手はヤングライオン杯初戦で膝を痛めシリーズ中の2大会を欠場、前シリーズから言い続けていたモンスターレイジ(岡北村組)でのWTL出場も見送る形となってしまいました。

www.njpw.co.jp

邪道選手は入院中、岡選手は膝にサポーターをつけたうえで復帰し、これからのヤングライオン杯に挑む予定です。

 

決して、忘れてはならない

このようなプロレス界を揺るがすような怪我、事故が相次いで起きたのが2017年だったのです。
ここにはあげませんでしたが、DDTプロレスにおいても高山選手が半身不随となるような大怪我をしたことも記憶に新しいかと思います。
高山選手の場合はプロレス界だけでなく広く世間一般にまで衝撃の伝わる大事件となりました。

新日本プロレス内だけでも11人、しかも命にかかわるような大怪我が二人も出てしまったと言うのはそうそうあることではありません。
無論これに対して、プロレス界そして新日本も検討と対策を行ってきました。
改めて新日本が構築している医事委員会の組織の説明、そしてサポート体制、事故の予防体制について公式サイトや各種会見、そして専門誌などで目にした肩もいるのではないでしょうか。

www.njpw.co.jp

この際に医事委員会は

体調面を考えて、試合数を限定してシリーズ参戦を行っていく 

 との考えを発表しています。
これが5月のことでこの後ケニー、邪道、岡の3選手が欠場してしまうことにはなってしまいました。
それは医事委員会及び新日本の取り組みが不十分であるとも取れますが、不十分だからこそ今後より気をつけなければならないと言うことだとは思います。
それにプロレスも選手のブッキングなどで数ヶ月前からの準備が必要なもの、3月4月と重傷者が相次いだことで対策を講じ始めたとしてもすぐに何かが変わると言うこともないでしょう。
さらに怪我は予測できない、偶発的なものであるという部分もあります。

これを踏まえると、自分は今回の4トップのエントリー見送りはこの医事委員会の進言によるものではないか、と考えています。
ケニーはもちろん棚橋選手も今年欠場を伴う大怪我をしているにもかかわらず満足に治療をする時間もなかった。
そしてオカダ選手は欠場こそないものの年始のケニー戦以来毎月のように防衛戦・シングルマッチを重ね、G1では首にテーピングを施しての試合もありました。
内藤選手も膝の古傷は言わずもがな、所謂ハードバンプによるダメージもあるでしょう。
この4人は東京ドームでのカードが決まっている4人、と言うだけでなく紛れもなく新日本を背負って立つ4人でもあり、この1年で最も身を削って闘った4人でもあると、私は思います。
そう思えば、今回の欠場もなんとなく説得力が増すのではないかと思います。

「G1ならまだしもタッグリーグで・・・」という思いもあるでしょうが、
実際に2015年のWTLでは参戦していたAJスタイルズが腰を負傷して途中から全戦不戦敗となり、翌2016年1月4日で復帰しました。
つまりはシングルだろうがタッグだろうが、全国各地を回る過酷なリーグ戦には同等のリスクが潜んでいる、と言うことがいえるのではと思います。

www.njpw.co.jp

最後に

結局今回の記事は荒れ狂うTLに対する反論を色々と考える中で、ふと思いついたものに過ぎません。
正直言って、G1以降もずっと過酷なシリーズだったのに今になってこのような対策を採り始めたのを不自然と見ることもできますし、実際欠場明け・怪我を抱えたまま出場する選手もいますから信憑性に乏しいとは思います。
もちろんこの記事を鼻で笑うも、批判するもよし。
ですが、現実にこれだけのレスラーが負傷していたこと、そしてそれに対して何も考えていない新日本プロレスではなかったことを思い出していただければ幸いです。
それに今回のWTLはトップ4がいないからこそ主張し、アピールできる選手もいるのでは、そしてその穴を埋めるに十分な実力を持った新規参戦選手が多数エントリーしていますし、文句ばかり言って出された料理を味わうことを放棄するのはもったいないのではないかと思います。
とりあえず自分はEVIL・SANADAの優勝を期待して追っかけます。
それでは

おまけ