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「ダブルメインイベント」で振り返る新日本の二本柱

東京ドーム大会に向けたRoad To 大会の全試合カードも発表された今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
まさかこのタイミングで新マスクマン・マスクドホースなる選手のデビューがあるとは思ってもみませんでしたが、ホース・・・馬・・・馬並み・・・一体どこの監督なんだ・・・

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それはさておき、まさかの来日を果たし、タクシーで逃走した後に、オスプレイとカラオケを楽しんだ上で、東京まで戻ってきて会見に参加するという殺人的スケジュールを消化したジェリコと、そのジェリコの福岡での襲撃に対して会見場で報復を行ったケニー、その二人によるUS王座戦がダブルメインイベントになると発表されましたね。
ダブルと言うからにはUSと(多分)IWGPヘビーが最後の2試合になるんでしょうけど、まだ全カードが出揃っていない関係上最終的な試合順が決定していないので一部でやきもきしている人も多いでしょうね。

今回はこの「ダブルメインイベント」という名称について、主にWrestle Kingdomで行われたものについて振り返っていきたいと思います。

レッスルキングダム in 東京ドーム

 そもそもなぜ「ダブルメインイベント」という名称が生まれたのかと言えば「この2試合が甲乙付け難い重要な試合である」ということを示すためでもあります。
そんな「ダブルメインイベント」は実は第1回Wrestle Kingdomから行われています。
そもそもWrestle Kingdomは所謂プロレス不況に喘ぐプロレス界において、業界全体が協力して最大規模の興行を成功させるということを目的に開始された面もあり、初年度は新日本プロレス全日本プロレスの創立35周年記念大会という側面も持っていました。
そのため、両団体の看板であるIWGPヘビー級そして三冠ヘビーの防衛戦がくまれるも「甲乙付け難い」価値を持つために「ダブルメインイベント」と称して第7試合に鈴木みのる永田裕志の三冠戦、第8試合に棚橋弘至太陽ケアIWGP戦というカード自体も交流戦・対抗戦的な要素のあるカードが組まれました。

しかしこの大会の「本当のメインイベント」はこの両試合ではなく、その後第9試合に組まれたスーパードリームタッグマッチと称された武藤蝶野対テンコジのタッグマッチでした。
メインイベントとは一体・・・もうこれわかんねぇな・・・となるところですがこれが当時の状況を如実に表しているともいえますね。

WRESTLE KINGDOM 7

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その後は基本的にはIWGPヘビー級によるメインイベントが定着していましたが、「ダブルメインイベント」が復活したのは2013年のWK7においてのこと。
この前年2012年にはIWGPヘビー級は棚橋対オカダという華やかな純プロレスの黄金カードが出来上がった年でもありましたが、その一方で全く別路線で頭角を現したのが中邑。
「10円玉」と称されたIWGP ICベルトをIWGPヘビーに近い白いベルトに一新し、その独特なパフォーマンスもあって注目度は上がっていました。
後に棚橋曰く「大関ベルト」ではありましたが、中邑曰くの「刺激的な仕掛け」によって全く別の価値観を築き上げていきます。
その「中邑IC」の代名詞的な試合がこの桜庭戦でしょう、言ってしまえば山のものとも海のものともわからず新日本でも扱いかねていた桜庭と見事な好勝負を繰り広げ、大きく評価を上げた一戦です。
この一戦以降、IWGPは棚橋やオカダを中心に、ICは中邑を中心として全く別の価値観を作り上げていきますが、そのそれぞれの価値観および「棚橋と中邑」という新日本の二本柱ががこれ以降の数年間の新日本において「甲乙付け難い」価値となっていきます。
その二本柱の共存のために「ダブルメインイベント」制度が定着するわけですね。

WRESTLE KINGDOM 8

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割と現在LIJというより内藤ファンが「ダブルメインイベント・・・うっ頭が・・・」ってなってるのはこのWK8でのダブルメインイベントのせいだと思うんですけどどうなんですかね。
というのも内藤さんが所謂「ダブルメインイベント」にかかわったのはWK8のみ、そして言わずもがな「ダブルメインイベント1」の実質セミメインに落されてしまったのがこの年なのです。
言ってみれば昨年から続くIWGP/ICの2大タイトル共存路線の延長線上であるダブルメインイベントであるのですが、この年は棚橋中邑という時代を支えたカードと、オカダ内藤というこれからの時代を作るカードが並ぶこととなりました。
言ってみれば「ダブルメインイベント」を作ることになった二本の柱が一本にまとまってしまえばそちらの方が重要であると認識されてしまうのもいたし方がないこと、かも。

そうして「実質」メインイベントを手に入れた棚橋中邑は言ってみれば新日本を盛り上げてきたこれまでの「歴史」であり、その元で力を蓄えてきたオカダ内藤はこれから新日本を盛り上げる「未来」であり、その共存の意味でもこの年も「ダブルメインイベント」が冠されているとは思います。
勿論プロレスにおいて「歴史」と「未来」はそれこそ「甲乙付け難い」価値を有するものだったのですが、結果として「歴史」が実質メインに、「未来」がセミメインにとなってしまいました。
武藤啓司曰くの「思い出には勝てない」が如実に現れた結果でもありますが、ここでの出来事が選手にもファンにも深く刻み込まれたのは確かでしょう。
勿論この年は「ダブルメインイベント」と称している一方で、ファン投票と言う形で「甲・乙」がつけられてしまったことで尚更優劣がついてしまったというのもあるとは思います。

WRESTLE KINGDOM 9

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WK8にて一度交わった棚橋と中邑が再び別れたWK9でもまた二人は「甲乙付け難い」存在として「ダブルメインイベント」を締めます。
中邑は最高級の刺激を求めて飯伏を指名し、まさに最高級の試合を繰り広げます。
棚橋はWK7に続いて再びIWGP王者としてG1覇者オカダの前に立ちふさがり、それを跳ね返しています。
どちらも新日本を支えてきた者が、新世代を象徴する選手を迎え撃つという同じシチュエーションだったというのも「ダブルメインイベント」になった理由でしょうか。
しかし試合後は全く異なる光景が現れました。
ダブルメインイベント1の中邑対飯伏は試合後にお互いに讃え合う、「敗者のいない」試合だったのに対して
ダブルメインイベント2の棚橋対オカダは退場口で崩れ落ちるオカダに対して、リング上で勝ち誇る棚橋と言う「勝者と敗者」のコントラストが残酷なまでにはっきりとなった試合。
全く逆の結末を迎えたこの2試合がプロレスの両面性を表している、と言うことも含めてこの2試合が「甲乙付け難い」と判断された理由でもあるでしょう。

その後、そして3年越しの「ダブルメインイベント」復活

で、この後「ダブルメインイベント」は2年間(WK10,WK11)に渡って行われていません。
この翌年は引き続き棚橋と中邑がセミとメインを勤めるものの「ダブルメインイベント」とは証されず、1年ぶりの雪辱戦となったオカダ対棚橋の「世代抗争最終戦」が唯一無二のメインイベントとなっています。
ファン的にはセミとなった中邑AJも甲乙付け難いものだったとは思いますが、新日本という会社としてこの決着戦の重要性を重く見ていたということでしょうか。
奇しくもこの直後、中邑が新日本から離脱することで棚橋・中邑による二本柱の時代は終焉を迎えます、それによって「ダブルメインイベント」の名もWKからは一時的に消えることに。

そうして迎えた「棚橋も中邑もいないメインイベント」となったWK11でもダブルメインイベントの名称は使われませんでした。
(とはいえぎりぎりまで棚橋はメインになろうと画策はしてましたが)
結果として内藤対棚橋のICがセミ、オカダ対ケニーのIWGPがメインになりました。
言ってみれば、WK11の時点では「甲乙付け難い」ほど、別々の価値観が確立されていなかったということでもあるかと思います。

そしてダブルメインイベントが復活するWK12、おそらくメインはオカダ対内藤のIWGP、セミはケニー対ジェリコのUSでしょう。
これはつまりケニーが、中邑以来となるほどの新日本にとって「甲乙付け難い」もう一つの価値観を確立した証拠でもあると思います。
それは新日本も現在注力している海外戦略でもあり、事実ケニーは2017年のオカダとの3連戦でこれ以上無い高評価を得て、そしてジェリコとの前哨戦、というか2度の襲撃が特にアメリカにおいて大きな反響を得ている事がその評価につながったのではないかと思われます。

所感雑感

というわけで「ダブルメインイベント」についてでした。
言ってみれば名前だけの取り決めではあるのですけど、それは裏を返せば会社としての思惑、意思が見える部分でもあるとは思います。
そして今回に冠して言えば、ケニーとジェリコは「ダブルメインイベント」という名称を”勝ち取る”に値する仕掛けと結果を見せていると思いますしね。
逆に言えば、IWGPヘビーを懸けているとはいえオカダも内藤も油断ならないということでもありますね、言ってみれば事前の注目度勢いでは一歩も二歩も行かれたわけで。
はたしてこれから年内残り3試合、もう一つのメインイベントに対抗することができるのか、見守りたいと思います。

それでは