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試合後コメントで振り返る"言葉を武器にする"選手達:共起ネットワーク編

前回のコメント解析では「既存ツールを使わずにPythonでコメント解析したい」と言ったな?あれはうそだ。

というわけでコメント以前集計した選手の試合後コメントについて中身についての解析編です。
一応あのあと色々調べてはみたんですけどそんな一朝一夕にできるようなもんじゃなかったですね・・・
ということでターキーさんも使っていたKH Coderを使って解析をしました。
KH Coderについてはコメントを入力したtxtファイルを読み込ませて処理させるだけのお手軽ツールなのですが、その結果出てきたデータをどう解釈したらいいものかと悩んでいたら2週間近く経ってましたね・・・
とりあえず今回はここ数年のコメントを用いて共起ネットワークを作成し、それを用いて解析(というかそれを見た感想)を書きたいと思います。

参考1:ターキーさんの行った内藤選手のコメント解析結果

weeklyprowrestling.com

参考2:前回のコメント数などの集計結果

prowrestlinganalysis.hatenablog.com

[:contents]

内藤哲也

2017年

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まずはターキーさんもやっていた内藤さんの結果の2017年版ですね。
共起ネットワークでは多く使っていた言葉は円が大きく表示され、同じ文脈で使われている言葉ほど近い場所にあり、より関係性が深い言葉同士が線で繋がれている、という図になっています。
そのため右下には「LOS」「INGOBERNABLES」「de」「JAPON」と一セット完成していますけど、こういう風につなげて言われるような言葉が一つのグループになってるわけですね。

それ以外で目を引くのは左側、青い円の塊ですがほぼほぼ内藤さんのコメントに毎回出てくる見覚えのあるワードが並んでいると思います。
これを見てみると2016年の再ブレーク以降、ある程度試行錯誤していた試合後コメントも2017年にはある程度の完成を見たのかな?と思ったりします。

2016年

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2017年はそういう意味だとちょっと解析に困ったんですが、個人的に2016年はちょっと興味深かったりします。
言葉のチョイス的には2017年とほぼ変わりない一方で、共起ネットワーク的には「言う」という言葉がその中心に来て色んな言葉、また色んなグループとつながりを持っています。
つまりは「言う」という言葉が2016年の内藤哲也のキーワードであり、象徴する言葉だったということが推測されます。
ふと思い出してみれば「自分の意思はちゃんと言わなきゃ・・・」とかそういうコメントをよく目にした気がしなくもない

キーワード推移

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では上で中心的な言葉だとした「言う」、ターキーさんのほうで着目された「お客」、そして個人的に重要なワードでは?と思った「勝つ」いついて2012-2017の間の推移を調べてみるとこんな感じ。
frequency(出現頻度)についてはコメント回数にも拠るのでその年一番多く出てきたワードに対する比としてプロットしています。
つまり2012年で言うと「言う」が最も発せられた言葉でそれに対して「勝つ」及び「お客」は半分程度の頻度だったという感じです。

重要なのは頻度の変化で、「言う」という言葉に関しては2013年に大きく落ち込んだ後上昇していっており、他の2つと比較しても年を問わずにかなり頻度が多いのがわかります、つまりLIJを開始する前から良く使う、重要視していたワードだったって感じですかね。

その一方で「お客」については2014年まで現象が続いていたのが2015年以降どんどん頻度が増しているので近年、特にロスインゴの開始前後から重要度の高まったワードと考えられます。

そして個人的に着目した「勝つ」については2014年にピークを迎えた後に2016年に激減、2017年に少し増えてはいますがこれは「勝った、だからなんだよ?」という文脈だったり「夢☆勝ちか?」という文脈での仕様が多かったりします。

個人的にはこの結果から、2015-2016年のLIJ結成前後の内藤さんで大きく変化したのは、言葉の重要性やお客さん思いの部分ではなく、「勝敗にこだわらなくなったこと」ではないかと推測しています。
それをコメント面でも「勝つ」というワードを一切使わないことで観客に印象付けることで「そういう価値観もあるのか」と思わせたのが大きな変化かな、と。
おそらくこの変化が「ベルトの価値を超えた」という発言にも繋がるのかな、と思ってます、ベルトはそれこそ勝敗に価値を与えるツールですからね。

棚橋弘至

2017年

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続いて、こちらもコメント巧者である棚橋。
内藤さんと同じく「言う」というワードが中心に来る構造をしていますが同じぐらいに「ベルト」というワードにも比重がかかっていますね。
というのも2017年はインターコンチのベルト破壊騒動が合ったりしたのでそれによって言及回数が増えたという可能性も。

2016年

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割と感動したのは2016年、見よ!このなんだかスゴい綺麗になことになっている共起ネットワークを!
これが何を意味してるのか、厳密にはわからないんですけどワード間にまとまりがある=色んな文脈、色んな切り口でコメントを出していたってことですかね。
そういう言葉を使う面での賢さってのは流石立命館卒・・・って感じ出ますね。

キーワード推移

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というわけどキーワードの推移ですが、共起ネットワークで中心になってた「今日」にしてもなぁ、と思ったので気になった「プロレス」「チャンピオン」「ベルト」について調べました。
「プロレス」及び「ベルト」については年によって上下はあるものの何度も最頻出のワードになっていたりもするので棚橋的にも重要なワードって感じですかね。
特に棚橋は長らく「プロレス界の顔」的な役割をしてきたのもあって「プロレスとは・・・」てきなコメントや「ベルトとは・・・」的なコメントも多い感じですね、
というかこうして毎年の頻度が変わるのも案外意識してワンパターンにならないようにしていたりするんだろうか。

一方で「チャンピオン」については2015・2017年に一度は上昇するものの下降傾向にあり、2016年にいたっては1回もなしという結果に。
これを見ると、2015年はオカダとの最終決戦があり、2017年は内藤との最終決戦があり、という関係で頻度が上がったと考えると、棚橋的には「チャンピオン」に関する意識が下がりつつある現状なのかもしれませんね。
それは「団体の顔たる王者」としての役割から移行しつつあるということなのかも・・・
まぁこの「チャンピオン」が自分に向けてなのか誰かに向けてたのかはわかりませんが、「チャンピオン」とかかわることが減っている証拠かもしれません。

オカダ・カズチカ

2017年

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そして最後は新日本でもコメントが巧くない部類に入るであろうオカダさん。
共起ネットワークを見ると他二人と比べてかなり他の円が小さく「思う」というワードの比重が大きい感じですね。
実際のコメントを見ていても「~と思いますね」っていうコメントの仕方なので思うが増えるのは仕方ないんですが、ちなみに2015-2017年の全てで最頻出単語は「思う」系でした。
それでもネットワーク的には「プロレス(おそらく『新日本プロレス』の形が多い)」で「相手」や「お客」と言ったワードと強いつながりを持っていますね。

2016年

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2016年は2017年と比較するともう少しバランスが良かった感じ、ネットワークは逐一計算してるみたいなので条件を変えて何回かやってみるとまた違う結果が出るかも。
ここでもやはり中心となるのは「思う」でそこからコメントが派生していくパターンですね。

他の二人のコメント上手と比較すると、共起ネットワークを見てもキーワードやキーフレーズと言ったものがあまり見当たらないのがある種の特長って感じもしますね。
そこが現状の弱点ではあるんですが、オカダモンペ的には伸びしろと捕らえたいところ。

キーワード推移

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というわけでキーワードは何かな・・・と悩んだ結果割とよく聞く覚えがある「IWGP」と「チャンピオン」そして棚橋のキーワードになった「プロレス」にしてみました。
その結果、割とそんな変化無いんだろうなという予想を裏切ってなんか凄いことに。

「チャンピオン」が猛烈に増えてる2015年はAJ、棚橋と三つ巴になっていた時代で、翌年1.4で棚橋に勝利するわけですけど、それを見越して「俺がチャンピオンだ、チャンピオンとはこういうものだ」みたいなコメントがかなり増えてたみたいですね。
そういう意味で「棚橋越え」の影響としてチャンピオンの頻度がかなり上がったのかなぁ。

次、IWGPに関しては2016年にかけて右肩上がりで、この期間はまぁ他のベルトの価値向上なんかもあり、IWGP王者になることが多かった関係で「IWGPはこうだ」みたいんばコメントが多かったんですかね。
それががくんと下がったのは2017年、それまであった拘りが一旦無くなったって感じですかね。
奇しくも対ケニーや対柴田などの名試合があり、またG1以降は普段の振る舞いも自由なものに変わったとしなだけに「IWGP」への拘りを捨てるような意識変化があったのかも。

一方「プロレス」については2013年に一度ピークを迎えしばらく下がっていたのが近年は上昇中。
オカダさんの場合は「新日本プロレス」とくくることが多いんですが、それにしても「プロレス界」もしくは新日本という会社に関するコメントが増えてきているのは、棚橋のあとを引き継いで・・・っていう意識の表れな気がしますね。

所感雑感

というわけで、今一どう解析するか決めかねてる中書いてるのでちょっと長くなってしまいましたが、とりあえず内藤、棚橋、オカダの3人のコメントの内容の比較でした。
結論としては「棚橋内藤はやっぱりコメントが巧い」と「結構変化が見られるオカダ内藤に対して棚橋は大きな変化なし」と言った感じでしょうか。
しかしこういう何かの推移を見ると大体内藤さんは変わったことになってるから面白いですね。

他の選手や他のワードについては気が向いたら、もしくはリクエストなどあったらやろうと思います。

それでは